エア断は断熱材を使用しない、特許取得の断熱工法です。
ここでは
・なぜ断熱材を使用しないのか?
・その仕組みは?
・費用は?
についてお伝えします。
断熱材性能テスト
高性能断熱材を使用すれば、冬の暖かさ夏の涼しさが得られるのかを実験しました。
12種類の断熱材を同じ条件下で比較。2014年から現在まで、各断熱材内部に取り付けた温湿度センサー値を記録し続けています。
結果はどの断熱材も大差ありませんでした。
厳密に言うと、高性能断熱材の方が、断熱性能が低い実験結果が示されました。コストパフォーマンスの点では、安価な断熱材が圧勝という結果でした。
しかし、「実験室と実物は違う」との指摘を受けたので、改めて新潟から熊本までに112拠点、様々な断熱材の家を計測しました。この計測で得られたのは「実験室と同じ結果」という事実でした。
つまり、高性能断熱材を使っても高い断熱効果は得られないという結果です。
そんな中、外断熱工法の工務店から「外断熱は家をすっぽりと包み込む工法。そんな計測で外断熱工法を論じてほしくない」との指摘を受けたので、今度は外断熱工法の検証を開始しました。
2016年に新築した家の温度を2年間測定した後に、外断熱工事を行い、温度を測定。外断熱前と後を比較することで、外断熱工法の効果を確かめました。
外壁に50ミリ硬質ウレタンを貼り付けて、完全に外断熱化しました。家には1階リビング1階寝室、2階北、西、小屋裏、床下、外部の7カ所にセンサーが取り付けてあり、24時間365日記録し続けています。
結果は、外断熱工事する前も後も、室内温度は変化ありませんでした。それどころか、冷暖房費については外断熱後の2017年2018年の方が高くなりました…
これらの実験で判明したのは、以下の信じがたい事実です。
・外断熱工法をしてもしなくても室内温度の変化は無い
・高性能断熱材でも安価な断熱材を使っても、断熱性能には大差無い
高価格断熱材が無意味な理由
これはなぜなのか?人間に例えて理由を分かりやすく解説します。
通常の家は100㎜程度の断熱材で覆われています。家の体積と比較すると4%程度となります。
この4%を人間の体積に換算した場合どれほどの厚みになるのかというと、1.4㎜です。
人間の体積平均:0.062㎥
人間の面積平均:1.69㎡
0.062㎥×4%÷1.69㎡=0.0014m=1.4㎜

つまり、家を人に例えるなら、100㎜の断熱材は1.4㎜の肌着を着ているのと同等、と言い換えることができます。
想像してみてください。真冬の夜に、1.4㎜の肌着だけで外に居る状態を。凍死してしまうかもしれませんね。もし、この肌着が高性能の断熱機能を持っていたとしても、寒いのは変わりません。例えそれを二重、三重に重ねてみたとしても、冬場の寒さを凌ぐことはできないと思われます。
もし、フカフカのセーターやコートを着込んだなら、なんとか耐えることができるでしょう。
このセーターやコートを家の断熱材に例えると、1m以上の厚みが必要になります。しかしながら、1m以上の断熱材を実際の家で実用化することは不可能です。隣接地の境界線を越えてしまいます。これが家の断熱材の現状です。
100㎜程度の断熱材の性能をどれだけ高めても、厚みを二倍三倍しても、断熱性能は大差無いのです。このことから、断熱性能を高めるには全く別のアプローチが必要であるということが分かってきました。
そこで考え出されたのが、特許取得の断熱工法エア断です。
エア断の仕組み
エア断の仕組みについてお伝えする前に、一般住宅の仕組みをご説明します。
外気温度が下がる→屋根と外壁が冷える→断熱材が冷える→室内の天井と壁が冷える→冷えた天井と壁に、室内の空気が接触し、急激に冷やされる→冷えた空気が壁を伝わって床に溜まり始める。
これが底冷えの原因といわれています。暖房機器で温めても、床に溜まる冷たい空気は温まることはありません。なぜなら、暖かい空気と冷たい空気は混ざり合わないものだからです。
床に溜まった冷たい空気は、厚い層を形成します。この冷たい空気の層が停滞して、床を冷やします。以上までが、一般住宅の冬の状態です。
さて、ここからはエア断独自の仕組みです。エア断住宅は、この床にたまる冷たい空気を層を、壁のファンで直接吸い出します。

一見すると暖房した暖かい空気を外に捨てているように感じますが、実際は違います。マイコンが底冷えを感知すると、各部屋のファンが動き出し、壁伝いに床に溜まった空気を芋づる式に吸い出します。同じ温度の空気はつながっているのです。壁の冷気を吸い出すことで、溜まる冷気も一緒に吸い出し、底冷えを起こしません。
そして、吸い出される空気は通気層に送られます。通気層を流れる空気がエアーカーテンの役割を果たし、外から入り込む熱気・冷気を、断熱材よりもはるかに効率よく遮断します。
エア断住宅では、最低16台の換気扇を一斉に動かすことで底冷えを抑え、熱気・冷気の侵入を遮断しています。家が負圧になることで、同時に花粉や菌が着床する前に外に吸い出します。無菌室と同じような効果を生み出し、ホコリも溜まりにくく、家庭臭も気にならないクリーンな環境を作り出します。

熱交換のシステム
エア断住宅のもう一つの特長は、床下の空気を通気層に流していることです。床下の空気って、冷たいんじゃないの?と疑問に思いますよね。ところが少し、私たちの認識と違うのです。
まず、地表面5m下には、真夏でも真冬でも20℃前後の層が存在していることが分かっています。『恒温層』と呼ばれています。
この層は、地表に上がるにつれて、地表の温度に近づきます。

地下5mの熱を取り出せれば年中快適な温度で過ごせますが、残念ながら、現在の技術では不可能とされています。ところが、家が建った真下の地盤では、家が断熱材の役目を果たし、地盤温度が変化しにくいことが分かってきたのです。
つまり、冬でも15℃前後の温かい熱が、夏は26℃前後の冷たい熱が蓄えられているということなのです。地域により温度は変わりますが、平均すると真冬でも外気温度より10℃以上高く、夏は10℃以上低い熱源が、家の真下に存在するのです。
これは、212件にも及ぶ、床下温度計測から知り得た大発見でした。(余談ですが、昨今の流行りである基礎断熱にも、あまり効果が無いということも判りました。)
私たちはこの地下熱源を活かす方法を考えました。それがエア断です。
エア断住宅では家を負圧にすることで、基礎部分、つまり床下の吸気口から空気を取り入れ、家の中央部分にある吸気ダクトを通して、1階の天井に吸い上げます。
0℃の空気が床下に入り込んでも、すぐに床下にある温度を吸収し、14℃まで上昇します。空気には熱しやすく冷めやすい性質があるのです。
床下には膨大な蓄熱層に眠っている熱があるため、いくら吸い上げても温度が変化することはありません。
これが、1回目の熱交換です。
この後、2回目の熱交換が起こります。
床下で0℃から14℃まで温まった空気は、壁と天井の通気層を伝って室内に入ります。この間に20℃まで上昇します。なぜ温度が上がるのかと言うと、室内で暖房をつけると、真っ先に壁と天井が温まるものなのです。通気層を伝わる空気が、その熱を吸収しているという訳です。(この熱は、エア断の仕組みが無ければ、ただ捨てることになります。)
室内の空気は、また通気層に排出されます。すると、通気層が熱を吸収。つまり、3回目の熱交換が起こり、最終的に外に排出されます。
「捨てる空気が断熱材」これまで床下の空気も、室内の空気も、活かすことなく捨てていました。この空気を最大限利用するのが、エア断の最大の特徴です。

実験してみました
仕組みはご理解いただけましたでしょうか?
では実際は?本当に空気は循環しているのか?モデルハウスで実験してみました。
気温マイナス2℃の日に、床下でスモークを焚き、煙の動きを撮影して追いました。
室内は23.8℃。エアコン1台が稼働しています。

床下でスモークを焚くと、家じゅうが煙に包まれました。室内温度は23.8℃と変化なし。1回目の熱交換が行われ、床下から室内に空気が流れ込んだ証拠です。
各部屋の換気扇が稼働し、煙を外に排出しています。室内温度は23.8℃で変わりません。
こちらは外部の画像です。

少し見えにくいですが、煙が排出されている様子が分かります。スモークが一周した証拠です。
計算上ではありますが、1時間に1,040㎥の空気を入れ替えていることになります。これは通常の住宅の20倍です。
家じゅうの空気を、約90分で入れ替えています。同時にエアコン1台で、室内の温度を24℃近くキープしていることになります。通常なら、換気したらすぐ寒くなってしまいますね。
温かい空気が循環しているだけでなく、通気層が断熱材代わりになり、外気の熱を遮断しているのです。また、常に空気が入れ替わっているため、臭いやホコリも吸い出してしまうのです。
雨漏りセンサー
エア断住宅には、雨漏り結露センサーを標準装備しています。
雨漏りを検知すると、登録されたメールアドレスに通知される仕組みです。お引き渡し後1~2年以内に雨漏りが発生した場合は、作り手のミスなので無償手直しを請求できます。お引き渡し後5年以降に雨漏りした場合は、防水をやり直す時期のお知らせとなります。
もし雨が降っていないのに雨漏りセンサーが反応した場合は、結露が発生していることを示します。結露が発生すると同時に、すべてのファンを動かして結露を抑制します。
家の大敵である雨漏り・結露を、常に監視し、被害が出る前に防ぐことが可能です。

費用について
さて、気になる費用ですが、新築の場合193万円です。
しかしエア断の導入で不要になるコストがあります。
・断熱材→150万削減
高性能断熱材から最も安価な断熱材に変更。効果は上がります。
・シロアリ防虫剤塗布→20万削減
・5年毎の再塗布→120万削減 ※30年で6回分の計算
・窓仕様→40万削減
小窓風窓をフィックス窓に変更。網戸不要。
・吸気口→2万削減
・基礎断熱→50万削減
トータル380万円ほどのコスト削減が可能です。

こんなメリットも
暖房機器を選びません。石油やガスファンヒーターでも結露被害が出にくく、換気なしで連続使用が可能です。
比較的温暖な地域では、高価な樹脂サッシを必要としません。
玄関やキッチンなどの生活臭がほとんどしないため、芳香剤が不要です。
ご自宅がエア断リノベ可能かどうか、知りたい方はこちらからどうぞ。
一般公開していないデータをご覧いただきながら詳しくご説明ます。
にエア断住宅は高い技術力と施工精度を必要とします。特に対流経路の気密漏れは致命的。だからこそお宅の徹底検査を工務店全額負担で実施しています。
「基礎転圧が不十分です。もう一度しっかり転圧してください」「結露時に腐食する可能性がありますので、防水テープをもっと広範囲に施工してください」など、エア断に無関係と思われる部分も徹底検査いたします。
コメント