Air断住宅でのQ値、UA値、C値はどれくらい?についてお話しします。
Q値とは
Q値は熱損失係数と言われ、どれくらい熱が逃げにくい家なのかを表す数値として使われています。Q値が小さい家は熱が逃げづらい家となります。
Q値は各部の熱損失量の合計+換気による熱損失量の合計÷延床面積で求められます。
Q値=(熱損失Kcal)+(換気損失Kcal)÷(延べ床面積㎡)

しかし、延べ床面積で割るのは正しい断熱性能を示していないとの意見が多く、2013年省エネ基準改定よりQ値に代わってUA値が用いられるようになりました。
UA値とは
UA値は各部の熱損失量の合計÷延べ外皮面積で求められます。
建物の延べ床面積ではなく延外皮面積から算出されるUA値は正しい断熱性能を知る指標となります。

しかしUA値の算出方法では換気よる熱損失量を含まないので、24時間換気による熱損失は無視されます。つまりどちらも一長一短。正確な家の断熱性能を示せているわけではありません。
C値とは
C値は住宅全体の隙間の合計面積÷延べ床面積で求められます。C値は値が小さければ小さいほど隙間が
少ない高気密住宅へとなります。

C値は計算ではなく実際の家を測定することで求められます。測定時はシャッターや雨戸は締め切り24時間給排気口は目張りをします。
数値の落とし穴
しかし問題は、日常生活上での開口部や24時間給排気口から漏れ出す空気です。こちらは気密性の高い樹脂サッシに室内から水を注いでいる様子です。

どれだけ流しても溢れることなく水が外に漏れでています。
動画の家はC値0.9。そこそこ、気密性の高い住宅ですが、それでも水がこれだけ漏れだすわけです。水がこれだけ漏れ出るということは空気ならなおさら漏れ出ていることになります。
冬季、室内温度が上昇すると空気が膨張し室外との温度差が高ければ高いほど、空気は引き違いサッシの隙間から漏れ出します。C値はこの日常生活における開口部から漏れ出す空気を想定していません。
さらにQ値もこれら漏れ出す空気を一切無視して計算されています。家は人の出入り、窓の開け閉め、
開口部から自然に漏れ出す空気により冷暖房熱を失います。さらに24時間換気の義務化により2時間に1度室内全体の空気を入れ替えなければなりません。
Q値、UA値、C値が示す、壁や隙間から逃げ出す熱よりもはるかに多くの熱が24時間換気や開口部から逃げ出しているのです。
この24時間換気の給排気経路そして開口部からの熱損失経路を見直さなくては、どれだけQ値UA値が
優れていても意味をなさないのです。
Q値UA値は家の部分的な性能を数値化したものにすぎず、実際の住環境を反映しているわけではないことを理解したうえで参考にすべきだと考えています。
どれだけQ値UA値が優れていても、夏は蒸し暑く、冬は結露が発生し底冷えに悩まされる家が多いのですから。
熱損失を防ぐ工夫
こちらの動画はAir断住宅における玄関ドアの開閉に連動するファンの動き、そしてエアーカーテンの動きです。

ドアを開けると玄関から外気を取り入れないように、すべての室内ファンを緊急停止。同時に上部のエアーカーテンが連動して室内の冷暖房熱が外に逃げないように工夫してあります。出入口はすべてこのような工夫。そして引き違いサッシを使わない工夫。これらの工夫が開口部からの熱損失を大幅に軽減しています。
さらにエア断住宅は24時間換気が定める2時間に一度ではなく、10分に一度部屋の空気を入れ替えながら、独自の給排気経路により大幅に断熱性能を高めています。
だからこそ、安価な断熱材を使用した北海道モデルハウスでも、エアコン暖房だけで室内ぽかぽか!

断熱材を一切使用していない東京モデルハウスでも、エアコン暖房だけで室内ぽかぽかを実現しています。

結露が発生せず底冷えに悩まされない、ホコリか少なく空気が綺麗な家づくりはQ値UA値C値を下げることではなく、他の工夫があってこそを成し遂げられる結果だと感じています。
少しでも皆様の家づくりの参考になれば幸いです。
新築をお考えの方やリノベーションをご検討の方は、お問合せください。
コメント