今回は、「リノベーションを、できるだけ自分の力でやりたいので、力を貸してほしい。」というご夫婦がお見えになりました。
築36年の木造住宅をリノベしたい
太田さんご夫婦
夫（48歳） 地方公務員
妻（44歳） 看護師
半年前に築36年の木造平屋住宅を購入し、リノベーションしようと考えていらっしゃいます。
ご相談内容
・周囲に木がたくさんあって、自然環境が気に入って購入した。
ただ家の前が幹線道路で交通量が多いので、少し気になっている。
・改装資金が潤沢にあるわけではないので、なるべくDIYしたい。
・二人ともDIYに関心があり、やってみたいがプロにしかできないところはお願いしたい。
・自然素材にこだわりたい
・二人とも読書が好きなので、書庫がほしい
・テレワークのために、ワークスペースが欲しい
特筆したいのが、ご夫婦ともSDGsに非常に興味があり、環境と共生していきたい、家は長く使うものだ、とお考えの方だったということです。
家の特徴
持って来られた図面を拝見しますと、こういう典型的な田の字型の中古住宅でした。
・南向きの広縁
・8畳2間＋6畳2間
・とても小さい浴室と洗面所
・家事導線が考えられていない
・北向きの和室に小屋裏に上がるための階段があるが、ほとんど使っていない
分かり合えない工務店
私たちにご相談いただくまでに、すでに3軒の工務店とお話をされてきた太田さんご夫婦。
しかし3軒とも、「ご夫婦ともに収入があるのだし、住宅ローンも全く問題ないのだから、こんな家にお金をかけるよりも建て替えましょう。新築にしましょう。新築はこういう家です・・・」というお返事だったそうです。
前述したように、SDGsに非常に興味がある太田さんご夫婦は、自然素材を使ったリノベーションをしたいと考えておられます。
そのような状況の中、私たちのホームページを見て、「こちらはSDGsに非常に協力的な会社だと思いました。是非力になってもらいたいと思って伺いました。」というご相談の経緯だったようです。
工務店側からすると、同じお金をかけるのだったら、新築を建て替えた方が手間もかからず、ましてローンが全く問題ないのだから、簡単な新築にした方がいいと思いがちなのです。
基本プランをご提案
まず基本プランを作ります。
屋根
費用が相当かかるので、小屋裏の物置も含め、今回は現状のままにします。
サッシ
幹線道路で車の往来が激しい道路に面していて、音が気になる。
今のアルミサッシの一枚板のガラスでは、暑さや寒さも防ぐ事が出来ない。
以上の理由から、サッシは樹脂に変更します。
床
できれば同じ木材でも、この地域にある杉を中心に使っていくことを考えていきましょう。
壁
自然素材ということであれば、私どもが開発した【ナテユール】という珪藻土。これを提供しますので、ご夫婦で塗ってもらいます。
キッチン
IKEAなどで市販のものを購入してきてください。接続するのは私たちがします。
そして私たちから、SDGsをお考えで、自然の豊かな生活をしていきたいお二人へ、太陽光温水器の設置をご提案しました。
ソーラーパネルですが、発電パネルではなくて、お湯を作る方のソーラーパネルです。
あとは、せっかく周りに緑がたくさんあるので花を育てたり畑を作ったり。
その場所に、雨水タンクあるいはコンポストというのを設置されるのもご検討されてみてはいかがでしょうかとご提案いたしました。
プランの詳細を詰めていく
では、一つずつ検証していきます。
樹脂窓
まず、現在のアルミサッシ。かなりくたびれてるサッシだったのですが、そのアルミサッシを樹脂に変えていきます。
候補として3つご提案しました。
①YKK 『APW430』
②LIXIL 『EW』
③エクセルシャノン 『UFシリーズ』
YKK APW430
現在一番多く売れているのはYKKの『APW430』。三重ガラスの、かなり高価ですが物はいいです。YKKのAPW430を使うのも一つ。
LIXIL 樹脂窓EW
二大サッシメーカーのもう一つがLIXIL。ここが、やはり樹脂窓を出していまして、『EW』というのですが、かなり断熱性能の高いサッシになっています。
エクセルシャノン UFシリーズ
ただ、私が今回おすすめしたいと思ったのが『エクセルシャノン』というメーカー。
北海道に工場があり、創業以来ずっと樹脂サッシだけを作っています。
樹脂サッシの日本での一番初めのメーカーという事で信頼感があります。しかもUW0.52という驚異的な真空断熱ガラスまで用意してある。
真空ガラスを使うかどうかは別として、このメーカーを本命として考えました。
ただし、サッシの取り付けは、DIYではなく、プロに頼むのが賢明です。
足場からこの重たいサッシを持ち上げて、中にいる人間と呼吸を合わせて取り付ける必要があります。
また、重たいのはもちろん、施工が上手くいかないと、雨水が入ってくる恐れがあります。
無垢の床材
室内の木材について、地産地消の意味もこめて、地元の杉を選ぶことにしました。
なるべくご自身のDIYでとのご希望でしたので、大工に施工方法を教わりながら、一部お手伝いをしてもらうという形で行うことにしました。
壁は珪藻土【ナテユール】
壁は塗り壁をご提案しました。
私たちが一押ししているのが【ナテユール】という塗り壁です。
これは『珪藻土』という材料でできていて、同じ珪藻土の中でも『稚内珪藻頁岩（わっかないけいそうけつがん）』を使用しています。
稚内珪藻土頁岩は、日本各地にある珪藻土の中で一番、吸放湿能力が高い。
実は【ナテユール】は我々の会社で開発したものです。
ニルバクラブ会員の工務店24社ほどに声をかけ、各社が使用していた珪藻土とナテユールの比較を、滋賀県立工業試験センターというところで行ったことがあります。
結果は断トツでナテユールの吸放湿が高かったのです。湿度コントロールの良さは、冷暖房費の節約や消臭にもつながります。
そして、ご夫婦でDIYでの施工が可能なのも魅力です。
材料の攪拌や、周囲の養生などはプロに任せた方が確実ですが、「塗る」という作業はDIY初心者の方でも楽しんで行っていただけると思います。
キッチンはIKEAがおススメ
キッチンは、IKEAさんでの購入がおすすめです。絶対にIKEAさんでないとだめというわけではありませんが、組み立てが楽なのでDIY向きだと考えています。
ただ、先程も言いましたように、接続だけはプロに頼んでもらった方がいいでしょう。
太陽光温水器
最後に太陽光温水器についてです。
これも色々なメーカーがあるのですが、【ソラリス】という商品をご提案しました。
真空二重ガラス管で作ってあり、とても効率が良いのです。
これについては、配管もご自分でできると思います。
プラン完成
太田さんご夫婦と話し合いを重ね、プランが完成しました。
広いLDK
一番大きな部屋がLDKです。
キッチンとリビング間には仕切りがありませんが、簡単にパーテーション、あるいはアコーディオンカーテンを設置することも可能です。
書庫と薪ストーブ
読書好きで、書庫が欲しいというお二人の希望をかなえ、寝室の横に大きな書庫を設置します。
また薪ストーブの自作を考えておられるそうでしたので、設置のためのスペースも確保しました。
窓際のワークスペースとクローゼット
静かな場所でデスクワークをしたいとのことでしたので、幹線道路に面していない側にワークスペースを作りました。
クローゼットも少し大きく取りました。タンスがいらないような、この中に全部収納できるだけのスペースのクローゼットを用意。
浴室と洗面所
洗面所も通常の倍ぐらいの大きさにしました。
洗濯機を置くだけでなく、部屋干ししたり、アイロンをかけるスペースも確保できます。
水回り・洗濯関係が1箇所で完結します。
浴室のために、約1坪のスペースも用意しました。
広縁はウッドデッキに
元々あった広縁は、掃き出し窓を取っ払ってウッドデッキにします。
幹線道路に面しているので、こちら側に木を植え、排ガスを遮断します。
太鼓判をいただきました
ありがたいことに、ご夫婦お二人ともに大喜びしていただきました。
「SDGsの本当の意味を分かって頂いているようでありがたいです。ぜひ一緒にやらせてください。」という、嬉しいお言葉までいただきました。
ぜひご相談ください
DIYを取り入れて、自分で出来ることは自分でやりながら、リノベーションしたいと思っておられる方は多いのではないでしょうか？
そのような希望をお持ちの方は、ぜひ私たちにご相談ください！
私たちの工務店の仲間が全国に100社のネットワークを作っています。
皆様からのお問い合わせをお待ちしています。
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