エア断工法と熱交換換気扇とはどちらがいいの?

エアダクト そうなのかエア断

「エア断ではなく熱交換換気扇を使った方が良いのでは?」と、ご質問があったのでお答えします。 



熱交換換気扇とは

熱交換換気扇とは、 冷暖房した熱を外に捨てることなく空気を入れ替えることが出来る換気扇です。仕組みは簡単です。 まず夏季、エアコンで冷房したケースを説明します。 

エアコンで室内を26度にした場合、通常の換気扇だと冷房した空気をそのまま外に捨ててしまいます。しかし熱交換換気扇は、冷房した空気を熱交換素子、分かりやすく言うとフィルターみたいなもので熱を蓄えて、外部に放出しています。次に、外部から空気を取り入れる場合は、先ほど熱を蓄えたフィルターを通して空気を取り入れています。エアコンで冷房した冷たい熱が蓄えられたフィルターを通り抜けてくることで、冷たい空気が入り込む。 

熱交換換気扇の仕組


熱を外部に捨てることなく、空気の入れ替えが出来る! これが、熱交換換気扇の仕組みです。 冬季は逆となります。 

熱交換換気扇はエコなのか?

一見するとエコな感じがしますが、細かく調べるとエコではないと判断しています。 詳しく説明します。 電気料金は1kWh26円で計算しました。 

まず、一般換気扇(仕事量70㎡/h)を使用した場合、1時間で3Whの電力を消費します。
1時間の電気代は・・・ 
26円(1kWhの電気料金)×0.003kWh (一般換気扇の消費電力)=0.078円
年間の電気代は・・・
 0.078円×24時間×365日=683円
熱交換はしていないので、節約金額はありません。 24時間換気にかかる料金は、年間で683円となります。 

一般換気扇は電気節約なし

次に、熱交換換気扇を使用した場合、1時間で60Wh程度の電力を消費します。一般的な換気扇の20倍の電力を消費します。 熱交換フィルターを通り抜けるにはそれなりのパワーが必要になるからです。 

1時間の電気代は・・・ 
26円(1kWhの電気料金)×0.006kWh(熱交換換気扇の消費電力)=1.56円
年間の電気代は・・・ 
1.56円×24時間×365日=13,665円 

続いて、熱交換による節約金額を計算します。
熱交換による節約量は、熱交換換気扇の風量×熱交換率で決まります。仮に最大風量が100㎡/h、熱交換率70%の場合は100㎡/h×70%=70㎡/hが熱交換による節約量です。
エアコンが1時間に吐き出す冷暖房した空気は約1000㎡/hと言われます。つまり、エアコンが作り出した1000㎡/hの熱量のうち、70㎡/hを熱交換するのが熱交換換気扇の節約量となります。 
エアコンが発生させる熱量の7%を、外に捨てることなく空気の入れ替えをしてくれるわけです。
エアコンが1時間に消費する電力量が1kWhとすると、現在の価格では26円程度。
26円(1時間のエアコン電気代)×7%(熱交換換気扇の節約料)=1.82円
1時間に1.82円、節約してくれることになります。
一般的なエアコン使用量は1日10時間程度。そして、エアコン使用期間は多めに見て10か月。
年間の節約金額は・・・
1.82円×10時間×30日×10か月=5,460円
熱交換換気扇は、年間5,460円の節約につながります・・・が、そのための電気料金に13,665円必要となるわけです。
確かに、夏冬エアコン稼働時にはメリットがあります。しかし春秋エアコンが稼働しない時期は熱交換のメリットは無く、ただただ電気代の無駄。 トータルでは熱交換によるメリット金額を本体を稼働させる電気料金が上回り逆ザヤが発生。

熱交換換気扇の節約金額

熱交換換気扇のランニングコスト

さらに、熱交換換気扇の本体価格は通常の換気扇の10倍以上。通常の換気扇が5,000~6,000円に対して5万円~12万円必要です。ダクト工事費も必要で、使用後フィルターのメンテナンス交換が必要になります。 

空気がゴミを通過して出入り

フィルターのメンテナンスや交換を怠ると、フィルターに目詰まりしたゴミを通り抜けて空気が入り込むので、家中が臭い始めます。「フィルターで花粉やゴミをキャッチして室内にクリーンな空気を取り入れます」とありますが、キャッチしたゴミを通り抜けて入り込む空気はクリーンとは思えません。。
そして、花粉やゴミ、そして小さな虫などは、人が衣服に付着して持ち込む量の方が数倍多いそうです。 持ち込まれた花粉やゴミ、そして小さな虫も強力なモーター、さらに高性能フィルターがキャッチして外に出しません。

さらに、湿気の多い夏季にはフィルターが湿気ります。フィルターには花粉、ホコリ、ゴミ、虫の死骸がたくさんありこれらが湿気ることでカビが発生。そこを通り抜けて空気が入り込むわけですから新鮮な空気ではないですよね。
私たちが、熱交換換気扇を取り付けた家の点検を行った際に強烈なカビ臭さを感じることがあります。もちろん、住まい手は全くそのニオイに気づかない。体臭のきつい人が、自分の体臭に全く気づかないのと似ていると思います。家の場合、家内部にあるすべてをカビ臭さが汚染します。

もちろん、頻繁にフィルターメンテナンスを行えばこのような結果は防げると思いますが、そこまでして熱交換換気扇を利用するメリットを見出せません。イニシャルコスト、ランニングコストそして、室内環境で、デメリットの方が多いと判断しています。 

ダクトレスにすれば費用問題は解決?

「ダクトレス熱交換換気扇はどうか?」ともご質問があったのでお答えします。ダクトレス熱交換換気扇は、壁に設置されます。ダクトが無いのでダクト工事費もかかりません。 

ダクトレス熱交換換気扇の仕組


しかし、壁に配置されるので外気温度の影響をもろに受けます。冬、外気が冷たくなるとダクトレス熱交換換気扇も冷やされます。夏は太陽光でジリジリと熱せられます。この影響を受け、冬は冷たい空気が夏は暑い空気が入り込むと報告を受けました。 さらに、正逆両方向に回転するファンはとても壊れやすいそうです。初期コストも高く、フィルター目詰まりはダクト式と変わりません。ダクト式であっても、ダクトレスであってもデメリットが多いと判断しています。

もちろん、われわれ独自の見解です。電気料金の計算、熱交換換気扇の仕事量などは平均値で計算しています。必ずしも正しいとは言い切れません。しかし、検査員の話や、トータル的な電気料金メンテナンス費用を考えると、 メリットは無いと考えています。 

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