耐震等級が生まれた背景
今回のテーマは、耐震等級って何ですか?耐震等級が生まれた背景についてご説明します。
地震大国と呼ばれる日本。
1995年には阪神大震災、2011年には東北大震災で、大きな津波による被害が起こっています。
そして直近では2016年4月14日と4月16日連続して、熊本で大きな地震が起こりました。
政府は1995年の阪神大震災を教訓として、耐震基準を見直しました。
2000年にさらに改正され、新耐震基準が発表されました。(それまでのものは旧耐震基準と呼ばれます。)
旧耐震基準(1981年5月31日以前のもの)が、中規模の地震で倒壊しない程度。
中規模の地震とはマグニチュード4程度なので、今回のようなマグニチュード6や7に対しては倒壊してしまう、少し弱い耐震基準だったわけです。
それが1981年6月1日以降は、中規模の地震マグニチュード4程度では損壊しない。そして7程度でも崩壊しないという基準を設けました。
ところが、こうして新しくできた新耐震基準でも、倒壊した例があるんですね。
熊本大震災の時がそうでした。
新耐震基準でも倒壊
こちらのグラフは、地震被害の割合を示したグラフです。
ブルーが無被害、黄色が小破・中破、オレンジが大破、赤が倒壊・崩壊 を示しています。
このグラフを見ていただくと、1981年5月までの建物について被害がなかったのは、わずか5%しかありませんでした。1981年6月から2000年5月の間は約20%が無被害となり、さらに2000年6月以降、被害がなかったのは半数を超えて61%でした。
しかしそれでも黄色の中破・小破と呼ばれる壊れた家が32%、大きく壊れた家が12%。倒壊してしまった家が2%もありました。
すなわち、新耐震基準の木造住宅も倒壊してしまったわけです。
更なる耐震基準の見直し
そこで熊本地震で耐震が見直されました。
熊本での地震は、震度6強が1日置いて、2日連続で発生しました。すると、新耐震基準であっても、筋交いが外れるなどして、一回目の地震ではなんとか持ったけれども、2回目の地震の際に倒壊してしまったという例が出てきました。
そこで新しく耐震等級が、3つに区分されました。
耐震等級1は、2000年に作られた制度で、建築基準法のレベルで、最低限新築の場合、必ずクリアすべき基準とされています。
耐震等級2は、その耐震等級1よりも1.25倍の力に対しても、倒壊や崩壊しない強さを耐震等級2としております。
さらに耐震等級3は、耐震等級1で耐えられる地震の1.5倍、それに対しても倒壊しない。
すなわち、耐震等級2は耐震等級1の25%強い家、耐震等級3は耐震等級1の50%増の強い家という基準になっています。
繰り返しますと、
耐震等級1は、建物が倒壊しても命が守られる程度の基準
耐震等級2は、破損しても全壊してしまわないで、改修したらもう一度居住できるという基準
耐震等級3は、熊本地震のように、震度6強が繰り返しても倒壊しない。居住続けることができる基準
となります。
耐震等級3の重要性
こちらの資料とみると、熊本地震では耐震等級3に相当する家は、小さな破損・軽微な破損が2棟あっただけで、無被害が14棟もありました。
つまり、少し補修するだけで住み続けられる家が耐震等級3ということがわかってきました。
損害比率を見て、一番上の旧耐震基準というのは、2000年に作られた耐震基準が守られていない家、もしくはそれ以前に建築された家。これは残念ながら、大きな倒壊が214棟、大きな潰れが133棟。新耐震基準になっても76棟が倒れる、85棟が大破、というような結果が証明されました。
中古住宅にも耐震等級3を
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