安心して住み続けるリノベーション③バランスを考える~耐力壁の配置~

耐力壁のバランスを考える 耐震リノベーション

耐震等級3を取るためには、『耐力壁(たいりょくかべ)』を設ける、ということが肝になってきます。ただ、この耐力壁を、どこにつけてもいい、というわけではありません。耐力壁を、どういう風にバランス良くするか?ということが大事なことになってきます。

耐力壁の配置図
耐力壁の例

ここにひとつ、サンプルの、古い家の図面を載せてます。
左上の食堂の北側、赤い棒で「2.0」と書いてあるのは、この1枚の耐力壁で、2倍の力がある耐力壁だ、っていうことになります。その同じ食堂の左下に「4.0」と書いてあるのは、この1枚で4倍の耐力壁になる、ということになっております。
これを、この家のどこに、どんだけ配置すれば地震に強い家になるか?ということを検討していきます。

重心と剛心

そこで大事なのは、ちょうど真ん中に、ブルーのラインで囲ってありますけれども、『重心(じゅうしん)』と『剛心(ごうしん)』というもので表しています。

重心と剛心
重心と剛心の配置

ブルーの丸に十字が、この家の『重心』だといたしますと、先ほど申し上げた、耐力壁をどのように配置するかによって、その重心の右下にある、『剛心』というものが決まってきます。この、『重心』と『剛心』をなるべく近づけることが、バランスの良い家になってきます。

地震との関連は?

例えば、『重心』があって、『剛心』が外れていると地震が発生した時に、『ねじれ』が起こって、揺れが大きくなってしまう、という結果になります。
『剛心』が遠くなればなるほど、揺れが強くなってしまうので、耐力壁を、『重心』と『剛心』がなるべく近づくように、バランスよく配置することが大事になってきます。

揺れが大きくなる!
重心と剛心が離れると揺れる


『やじろべえ』を考えてもらったらよく分かると思うのですが、小さい時にお遊びになったこともあるかと思います。やじろべえは、左右のおもりが、ちょうどバランスが取れて、グラグラしながらでも倒れない。
例えば、世界で一番古い木造建築、1200年以上も前に建ったのが、今も現存しているのが、ご存知、奈良にある法隆寺の五重塔です。この五重塔は、1200年も、そのまま建っている。五重塔の真ん中に、『心柱(しんばしら)』と呼ばれる、太くて大きな柱があります。この柱が、ちょうど、やじろべえの芯のようになって、地震が来た時も、建物が揺れながら倒壊しない、バランスを取ってくれる、そういう役目を果たしてるんですね。この五重塔でも、外側は(耐力壁が)バランスよく配置されてる、ってことなんです。

やじろべえと五重塔
五重塔の「心柱」
五重塔の耐震力
耐震力がスゴイ!!

上下のバランスも大事

この、耐力壁は、もう一つ大事なことがあって、上の階の耐力壁の、なるべくその下に耐力壁を持って行く。せっかく上に耐力壁がありながら、下の耐力壁が大きく外れていると、バランスが悪い建物になってしまいます。
『重心』と『剛心』を考えて、やじろべえとか五重塔のようにバランスの良い配置をするということと同時に、上の階と下の階の耐力壁も、上下のバランスを取っていく、ということが、とっても大切です。

耐震リノベはお任せを!

私たちは、これらのバランスを見ながら、耐震等級3を目指すために、必ず構造計算をして、地震に対して強い、安心できる、そういうリノベーションをしております。
今日のお話は以上です。
最後までありがとうございました。

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