安心して住み続けるリノベーション⑤耐力壁はみな同じ?

耐力壁はみな同じ? 耐震リノベーション

地震に強い家には耐力壁がとても大切です、っていうお話をしてきました。
この耐力壁って、みな同じなんでしょうかね?
そもそも、耐力壁って何??

耐力壁と壁倍率

耐力壁っていうのは、柱と柱の間に何かを入れて壁を強くするのが、耐力壁という考え方です。
昔からある耐力壁のやり方に、【筋交い】というものがあります。筋交いというのは、木材を柱と柱の間に斜めに入れて固定するやり方です。この斜めに入れる木材の太さによって、壁倍率がいくらか、っていう規定があります。

※壁倍率とは:建築基準法で定められた、耐力壁の強さを表す数値。

筋交いとは
筋交いの太さによって強度が変わる

例えば、厚み3cmで幅9cmの筋交いを入れた場合は、何も入れない壁よりも1.5倍の強さがある、 という規定になっています。

壁倍率1.5
3cm×9cmの片筋交いで壁の強さは1.5倍

その壁の厚み3㎝を、4.5cmに、幅は同じ9cmにすると、先ほどの3cmの木材の1.5倍よりさらに大きく、壁倍率は2.0になります。木材を9cm幅、厚み4.5cmにすると、何もない柱の間の壁よりも壁が2倍ある、という考え方です。

壁倍率2.0
4.5cm×9cmの片筋交いで壁の強さは2倍

その【筋交い】という斜めに入れる木材を、1本だけじゃなく交互に入れると、壁倍率はさらに増えます。例えば先ほどの、幅9cm、厚み4.5cmの木材を、たすきがけに交互に入れてやると、その壁は壁倍率4倍。何もないよりも、4倍強い壁になるということになっています。

壁倍率4.0
4.5cm×9cmの両筋交いで壁の強さは4倍に

筋交いプレート

この筋交い、ただ入れただけでは、残念ながら、強くありません。なぜなら、地震の時に外れてしまうからです。
昔から筋交いは、広く木造住宅では使われてきましたが、古い家はこの木材を、釘で打って固定していました。柱だとか、土台・梁に、釘で留めていたんです。しかし、釘が錆びてきたり、あるいは、木材が痩せて小さくなってきたりすると、その釘の効きが非常に弱くなります。

そこへ地震が起こって外れてしまう、ということがあるので、現在は、写真にあるように、【筋交いプレート】という金物で柱や土台、あるいは梁に、緊結するということが推奨されています。

筋交いプレート
筋交いプレートの例

面材とは

さて、この【筋交い】じゃなくて、【面材】という構造用合板を貼るという方法もあります。
仮に1本だけの【片筋交い】と言いますが、これが1.5 倍だと、【面材】を使った耐力壁は、2.5倍。
さらに、この【面材】構造用合板を両側から貼っていくと、5倍という強い壁になるという計算が出ています。

壁倍率2.5
面材片側で2.5倍
壁倍率5.0
面材両面で5倍

土壁も耐力壁

昔からある土壁。
土壁も実は、何もないよりも壁倍率は強いんです。なぜなら土壁の中には竹が編んであります。その竹が、引っ張る力に作用したり、あるいは土そのものが、粘りで耐力壁になるというやり方です。土壁の場合も、厚みによって壁倍率が1.0から1.5という風に規定されています。

土壁の壁倍率
土壁の壁倍率

壁倍率まとめ

ちょっと整理してみましょう。

【土壁】1.0~1.5(厚みによる)
【筋交い】木材を斜めに入れる。1本だけ入れる場合は壁倍率は1.5から2.0になります。
【両筋交い】交互に入れると3.0から4.0になります。
構造用合板と言われるような【面材】を貼ると、2.5倍から5.9倍。合板の厚みによって最高5.9倍。6倍近くの耐力壁があるという計算が成り立っております。
これは実験センターで実験をされた結果、こういう倍率で計算することになっています。

耐力壁の種類と壁倍率
耐力壁の種類と壁倍率

ねじれと粘り

しかし構造用合板をつけた時に、【ねじれ】に対しては強いんですけども、そのねじれに対して、ネバリもかなり大切になってきます。【ネバリ=粘り】って何かと申し上げると構造用合板を貼って、地震が来た時に歪む。その歪みにどれぐらい保つか。単に釘などの力で抑えるだけじゃなくて、ねじれに対してどれぐらい強さを持っているか。

ねじれと粘り
地震によるねじれに耐える力=粘り

このグラフをご覧ください。

構造用合板の強さ

通常よく使う12mmの厚みの構造用合板を貼った時には、どれぐらいの圧力に耐えれるか、というのがこのグラフ。真ん中の2本が、大体それになりますが、どれぐらいの圧、というか耐力があるか、通常はkN(キロニュートン)という数値で出すんですけども、このグラフから分かるのが、15キロニュートンぐらいかかると、【せん断力】と言いまして、そのひねりが4から6ぐらいがピーク。ということは15キロニュートンぐらいが限度、というような値になります。

12mmの構造用合板強さ

一方24mmという厚い合板を使うと、25キロニュートンという巨大な力が加わっても、【見かけのせん断変形角】と言いますが、変形してしまう量がなんと10から 8ぐらいまで保ってくれる。

24mmの合板

同じ構造用合板でも場所によって、どの厚みのものを使えばいいか、私たちはこういうグラフを参考に構造計算をして、皆様にお伝えすることにしています。
筋交いは一本だけがいいのか、2本だけがいいのか。あるいは木材はどれくらいの厚みがいいのか。
それを固定するための金物は何がいいのか。筋交いじゃなくてもっと耐力壁としての効果の高い、力の強い合板は何ミリをどこへ使ったらいいのか。
これらは全て構造計算して確認しながら、施工することにしております。

今日のお話が参考になれば幸いです。
最後までありがとうございました。

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