地震に強い家には耐力壁がとても大切です。
では、耐力壁とはいったいどのようなものなのでしょうか?
耐力壁と壁倍率
耐力壁とは、柱と柱の間に筋交いという斜めの柱を入れたり、面材を貼るなどして「変形」に対する強度を増した壁のことです。
【筋交い】は昔からある工法で、木材を柱と柱の間に斜めに入れて固定するやり方です。
この斜めに入れる木材の太さによって、壁倍率の値の規定があります。※壁倍率とは:建築基準法で定められた、耐力壁の強さを表す数値。
例えば、厚み3cmで幅9cmの筋交いを入れた場合は、何も入れない壁よりも1.5倍の強さがあるという規定になっています。
その壁の厚み3㎝を、4.5cmに、幅は同じ9cmにすると、先ほどの3cmの木材の1.5倍よりさらに大きく、壁倍率は2.0になります。
木材を9cm幅、厚み4.5cmにすると、何もない柱の間の壁よりも壁が2倍ある、という考え方です。
その【筋交い】という斜めに入れる木材を、1本だけではなく交互に入れると、壁倍率はさらに増えます。
例えば先ほどの、幅9cm、厚み4.5cmの木材を、たすきがけに交互に入れると、その壁は壁倍率4倍。何もないよりも、4倍強い壁になっています。
筋交いプレート
筋交いは、昔から広く木造住宅で使われてきました。
古い家はこの木材を、釘で打って固定していましたが、釘が錆びてきたり、あるいは、木材が痩せて小さくなってきたりすると、その釘の効きが非常に弱くなります。そこへ地震が起こって外れてしまう、ということがあります。
そのため現在は、写真にあるように、【筋交いプレート】という金物で柱や土台、あるいは梁に、緊結するということが推奨されています。
面材とは
また、【面材】という構造用合板を貼るという方法もあります。
仮に1本だけの【片筋交い】と言いますが、これが1.5 倍だと、面材を使った耐力壁は、2.5倍。
さらに、この面材、構造用合板を両側から貼っていくと、5倍という強い壁になるという計算が出ています。
土壁も耐力壁
昔からある土壁も実は、何もないよりも壁倍率は強いということがわかっています。
なぜなら土壁の中には竹が編んであり、その竹が、引っ張る力に作用したり、あるいは土そのものが、粘りをもち壁の強さを上げる役割を果たしているからです。土壁の場合も、厚みによって壁倍率が1.0から1.5と規定されています。
壁倍率まとめ
まとめますと、
・【土壁】1.0~1.5(厚みによる)
・【筋交い】木材を斜めに入れる。1本だけ入れる場合は壁倍率は1.5から2.0
・【両筋交い】交互に入れると3.0から4.0
・【面材】構造用合板のような板を入れると、2.5倍から5.9倍。
面材に使用する合板の厚みによって最高5.9倍。
6倍近くの耐力壁があるという計算が成り立ちます。
これは実験センターで実験をされた結果、このような倍率で計算することになっています。
ねじれと粘り
構造用合板は、「ねじれ」に対しては強いといわれています。
しかし、そのねじれに対して、ネバリもかなり大切になってきます。
「ネバリ=粘り」とは、地震が来た時に起こる建物の歪みにどれだけ耐えられるかということです。
このグラフをご覧ください。
構造用合板の厚みによって、どれだけ耐えられるかが分かるグラフです。
一般的によく使われる、12mmの厚みの構造用合板を貼った時には、真ん中の2本が、それになります。
どれぐらいの圧、というか耐力があるか、通常はkN(キロニュートン)という数値で出します。
このグラフから分かるのが、15キロニュートンぐらいかかると、【せん断力】と言いまして、そのひねりが4から6ぐらいがピーク。
ということは、15キロニュートンぐらいが限度、というような解釈になります。
一方24mmという厚い合板を使うと、25キロニュートンという巨大な力が加わっても、「見かけのせん断変形角」と言いますが、なんと10から 8ぐらいまで保ってくれる。
同じ構造用合板でも、場所によって、どの厚みのものを使えばいいか。
私たちはこういうグラフを参考に構造計算をして、皆様にお伝えすることにしています。
筋交いは一本がいいのか、2本がいいのか?
筋交いの木材はどれくらいの厚みがいいのか?
それを固定するための金物は何がいいのか?
筋交いではない、もっと耐力壁としての効果の高い、力の強い合板がいいのか?
合板の厚みは、何㎜?
どこへ使ったらいいのか?
これらは全て構造計算して確認しながら、施工することにしております。
もし、現状の分析や、家を見てほしいというご希望がございましたら、遠慮なく我々のニルバクラブにご相談ください。只今無料耐震診断も受け付けておりますので、どうぞお気軽に下記フォームよりお申し込みください。
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