1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神淡路大震災は多くの死者と建物倒壊の大惨事をもたらした。
この時『木造住宅が多く倒壊した』『木造住宅は地震に弱い』との記事が新聞紙上をにぎわせていた。
『瓦屋根・木造・日本家屋の危険性日本瓦を使い、基礎が石に柱を載せただけで、筋交いの少ない老朽化した木造住宅でも多くの死者が出たため、神戸地域においては新築の瓦屋根はほとんど見られなくなった。
日本の伝統構法の流れを汲む木造軸組構法の住宅に被害が集中し、新しい住宅においても筋交いなどが不十分であった物件は大きな被害を受けている。
坂本功著の『木造建築を見直す』という書において「死亡者のうち5,000人近くは、軸組構法の住宅の下敷きによって圧死した」と述べている。
しかし重要なのは、「構造的に問題のある建築に瓦屋根のものが多かった」にもかかわらず、一般的には「瓦が重いから問題」であると誤解されている。』
-ウイキペデイア「阪神・淡路大震災」より引用
ウィキペディア「阪神・淡路大震災」
そして、あたかも木造は地震に弱い!との論調が全国紙の有力新聞で見かけた。
本当に木造住宅は地震に弱いのか?疑問に思った私は、震災直後の神戸をカメラ片手に徘徊した。
そして次のような結論に至りました。
①木造住宅の倒壊が多いのは住宅の 建築物の中で圧倒的に木造が多いから
②南面に採光のための開口部が多く 耐力壁のバランスが悪い家が多かった。
③屋根に瓦と土が載っているため やじろべえ現象が起きていた。
④湿気対策が不十分で土台に腐敗が 生じていた住宅に多くみられた。
この阪神淡路大震災以降、法の改正も進み耐震性の高い新築住宅が増えました。
また耐震改修(リフォーム)も補助金の後押しで浸透してきています。
しかし上にあげた④の湿気対策は建築基準法にも具体的な指示が出ていません。
高温多湿な我が国では特に湿気を上手にコントロールすることが求められています。
前述のウイキペデイア記事の終わりに次の記述があります。
『古い木造住宅は、年月の経過によって乾燥している点、耐火材を使っていないなどの理由による火災の被害も多い。
これは、神戸地区の木造住宅が地震よりも台風に対応した木造住宅であり、振動に弱く瓦部分が重く、なおかつ瓦の固定方法も屋根に土を葺いてその上に瓦を載せる方法が多かったことにも起因している。
なお、筋交いを多く入れてある木造住宅においては耐震性も十分にある。
また、同じ木造住宅でも、プレハブやツーバイフォー(木造枠組壁構法)と呼ばれる工法の住宅が高い耐震性を示している。3階建住宅の被害もほとんどなかった。』
-ウイキペデイアより引用
私が気になったのは、ツーバーフォー(木造枠組み壁工法)です。
確かに2×4工法は新築直後なら在来木造軸組み工法(木造住宅)と比べて風圧や揺れには圧倒的な
強さを誇っています。
在来の木造住宅は骨組みが”木”で構成されています。
一方2×4(ツーバイフォー)は自動車で言えばモノコックボデイー壁や床の面で構成されています。
構成されている面は構造用合板。9mm~12mmのベニヤ板です。ベニヤ板だから悪いのではありません。立派に剛性のある材料です。
しかし、弱点は湿気です。
ある大手の木質系プレハブメーカーさんから依頼を受けて診断したことがあります。
依頼内容は『畳がブカブカしている』
現地に行って入居者から案内された和室は確かに畳がふわふわする状態。
畳をめくってみると・・・
畳の下は構造用合板でしたがとこどころ波を打っています。
そして、その構造用合板は親指でも簡単に穴が開く状態。
原因は床下の換気が悪く湿気で合板が湿って腐りかけていたのです
阪神淡路大震災の教訓も、大手ハウスメーカーさんの場合も、湿気対策の大切さを身をもって
知りました。
以来、新築でもリノベでも湿気対策には十分すぎるほど気を配っています。
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